タワーマンションについて【基礎知識その1】

タワーマンション
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タワーマンションの定義

タワーマンションは法律上の定義はありません。
タワーマンションは、建築基準法第20条「高さが57mを超える建築物」と同義とすることが多く、一般的に、およそ20階建以上のマンションを、タワーマンションとしています。

タワーマンションの建築基準について

マンションが高くなればなるほど耐震性や災害についての基準が厳しくなるのは想像できると思います。
当然タワーマンションに対し、建物の構造耐力についてより厳しい基準が設定されています。
建築基準法、消防法では建物の高さ31m、60m、100mの目安で基準があります。

つまり、タワーマンションの建築基準は、おおよその全体構成イメージは、

「タワーマンションの建築基準」
=「全建物の建築基準」+「31m以上の建築基準」+「60m以上の建築基準」+「100m以上の建築基準」

となります。
100m以上のタワーマンションは、全体の建築基準、31m以上、60m以上、100m以上の建築基準をクリアする必要があります。
つまり、原則的に、すべての建築基準を網羅する必要があります。

この原則を基準に、タワーマンションの耐震基準、防火計画が義務付けられています。

構造強度について

高さが60mを超える建築物については、コンピューターシミュレーションを利用し建設地において想定される地震波などで、建築物がどのように揺れるかを検証し(時刻歴応答解析)、構造耐力上安全であることを確かめた上で、大臣認定を受けることが義務付けられています
(尚、極めて稀に起こる震度6強から7の地震に対して、高さに対する揺れ(層間変形)が概ね1/100以内になるように設計されています。

※高さ150mの建築物の場合、最上階の揺れが最も大きい部分でも振幅1.5mを越えないこと
(150m × 1/100 = 1.5m)

尚、下表の通り、高さ31m以上には中央管理室の設置が義務付けられています。

高さ別建築基準
高さ 義務
31m 中央管理室(非常用エレベーター、排煙設備、空気調和設備の制御と監視を行う室)の設置
60m以上 中央管理室の設置に加え、コンピューターシミュレーションによって建設地において想定される地震波などで建物がどのように揺れるかを検証し、構造耐力上の安全を確かめた上で、国土交通省の大臣認定を受けること

設備安全性

エレベーター

エレベーターについては、極めて稀に起こる震度6強から7の地震に対して、かごの脱落等を防止することが義務付けられています。
また、
震度5弱程度の地震が発生した場合は、エレベーターに直ちに停止し、
震度4程度の地震が発生した場合は、自動的に最寄りの階へ移動・着床し、乗客が避難できるよう設計されています(法令上の基準は設けられていない)。

エレベーター以外の建築設備

エレベーター以外の建築設備については、基準上は、建築物の変形に対して損傷防止のための措置を講ずることが義務付けられていて、基準の解説書である「建築設備耐震設計・施工指針」においては、層間変形が1/100程度では損傷、脱落等を生じないこととされています。

なお、電力や水の確保についての基準はありません。

火災などに関する安全措置

高さ別規制
高さ 義務 理由
31m 非常用エレベーターの設置 消防車のはしご車の高さの一般的な限界点が31m(100尺)程度であることから、高層建築物が増えつつある昭和45年に設けられた規定
60m ヘリ緊急救助用スペース ヘリコプターが着陸できなくても空中に留まり救出活動を行える「緊急救助用スペース」を設けることが要請されています(当該建物は、屋上にRのマークがあります)
100m以上 ヘリ緊急離着陸場 高さ100m以上になると、消防法により、ヘリコプターの「緊急離着陸場」の設置義務なども生じます。

航空障害燈の設置義務

地上、あるいは水面から高さ60m以上の高さの物件には原則として航空障害燈の設置が義務付けられています。
但しビル群の中にある建物の場合は60m以上のものでも設置されない場合があります。

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